日本教材学会

The Japanese Association of Teaching and Learning Materials

日本教材学会

設 立 趣 意 書

 

 21世紀の社会を担う子どもたちの教育をどう進めていくかが、大きな教育の課題となって以来、教育研究の各分野において積極的な論議が行われています。その一つは、教育課程・教育方法の在り方をめぐる問題で、教育課程審議会でもその中心課題として、国際化、情報化、成熟化などの社会の変化に対応して、これからの教育課程の在り方をどう進めるかにつき真剣な論議が行われました。

 教育課程の研究の中で見逃せなくなっている重要な研究課題は、教材の問題であります。学習の成立を図るために、いろいろな方法で活用されている教材についての研究は、これまでも各方面の学会や研究会において積極的に取り上げられ、その研究が進められてきました。しかし、これまでの研究はどちらかというと、視聴覚教材、放送教材、教科書教材、図書教材あるいはCAIのソフト教材というように、メディア別の教材研究に焦点を合わせたものだといってもよいと思われます。最近では、これらのメディアの活用を横断的に進めるマルチ・メディアミックス的利用への研究の関心が高まってきています。

 それに、個性化教育、個別化教育の展開に伴って伝統的な教材という概念ではなく、学習材という概念も登場し、その研究も行われてきています。教材という概念は、集団的な授業を前提とし、集団の全員に共通の情報を提示するものとして主として使われてきました。しかし、個別化、個性化教育という時、教えるための教材というよりも、子どもたち一人ひとりの学習を成立させるための媒介としての教材が必要となってきています。それを学習材と呼ほうとしているものと考えられます。

 さらに、コンピュータの授業への活用は、教材が世界を広げる動きをみせてきています。いままでの教材は、二次元の世界の教材でしたが、コンピュータのソフトは、三次元の世界を見せることも可能にし、シミュレーション的な仮定の世界を作ってそれを見せ、教材化することも可能にしています。

 このようにして、教材研究の新しい世界が、今日大きく開けてきています。そこで、これまで各分野で個別に行われてきた、この研究を総合的、横断的に研究する立場から、教材研究を正面より取り上げて研究する教材学会の設立が必要になってきているものと考えています。

 しかし、教材の研究というのは、たんに、理論的に研究すればこと足りるというものではなく、その教材の開発が組織的、系統的に行われ、授業の場で検証されていかなくてほならないという性格をももっています。その意味で、これまで、教材について理論的に研究されてきた研究者の方々、実際に教材を活用し実証的に教材研究をされてきた実践家の方々、さらには、これまでの教材の作成、開発に精根を傾けてきた編集制作者の方々が、それぞれの立場を生かしてご参加いただき、総合的、横断的に教材の在り方を研究する日本教材学会の設立を提唱するものであります。

〈平成元年(1989年)1月設立〉

 

日本教材学会事務局(担当:澤崎、今多)

e-mail:kyozai-gakkai@nit.or.jp

電 話:03-5946-8717

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